21gのとしょかん

ながいながい遺書

いつか王子様が

「そういえば牛乳切れてたな」と思い出し、食料品売り場に行く。いやに写実的な牛の絵に吐き気を覚えて買うのをためらう。隣にあったヨーグルトを代わりにカートに投げ込むが、ヨーグルトなんて別に好きじゃなかったことを思い出して戻す。いやに音量のでかい売り場の呼び込みにいらだちを覚え、さらにはそんな自分に嫌悪を覚え、イアホンをつけて音楽をかける。

 

Syrup16gが鳴る中夕飯になるものを探す。

カツ丼を手に取る。悩み、戻す。

カルボナーラを手に取る。悩み、戻す。

そもそも食べたいものなんて無い。食欲すらない。ただこの前親に言われて「そうだね」なんて応えてしまった「せめて1日1食は食べて」がいやに引っかかるだけ。

唐揚げを手に取る。悩み、戻す。

九州風とんこつラーメンを手に取る。悩み、戻す。

 

滑舌の悪い閉店のアナウンスが流れる。焦燥感に駆られ、食べたくもないあんパンと、飲みたくもない缶チューハイをかごに放り込む。家に帰れば後悔することなんて分かってるのに。

 

帰りたそうなそぶりを隠しもしないレジのおばちゃんに300円ちょっとを払い、30分かけて家に帰る。あんパンを手に取るがやっぱり食べたくないと予想通りの結論。冷凍庫に放り込む。

 

ストロングゼロのならす炭酸の音を聴きながら、明日の過ごし方を考える。夕方に起きれば良いことに気づいて携帯のアラームを切る。明日はもう少しマシな選択ができると信じながら。どうせ変わらないのを知りながら。そしてそんな自分を、「実に自分らしい」なんて褒めながら。