21gのとしょかん

ながいながい遺書

バーからのかえりみち

中学時代に通っていた塾は、激安ソープランドとラブホテルの間にあった。一本向こうの道にはキャバクラとスナックが乱立していた。ソープランドの隣には、黄色のポップ体で「絶倫!精力剤!」と書かれた薬局があった。気恥ずかしさを覚え、その狭い駐車場にあるDyDoの自販機は安いにもかかわらず絶対に使わなかった。

 

高校時代も同じ塾だった。ちょっと大人になった僕たちは、積極的にその立地をネタにした。「ソープに入っていく人を見た」と言っては、何が面白いのかよくわからないまま皆笑った。塾の隣のラブホは安かったから何回か行ったことはあったけど、そんなことはこっそりと優越感を覚えながらも心の中に隠した。キラキラと安っぽいネオン看板に奇妙な憧れを抱きつつ、じっと見てはいけないと思った。「安いよ、遊ばない?」とカタコトの日本語で言うフィリピン人の女に、何故か全身がむず痒くなった。

 

今日。ホスクラの看板を目印に、手元のグーグルマップと照らし合わせて祇園を歩く。タクシーから降りラブホに入っていくカップルに道を譲った。泥酔したおっさん3人が僕にぶつかりながらキャバクラに入っていった。黒いベンツに乗りこもうとする嬢が残していった、ありふれた匂いの香水を嗅いだ。

 

駅前で、早足に歩いていく制服姿の女子高生二人を見た。帰らぬ日々を喜ぶべきか悲しむべきか考えながら、僕は喫煙所を探した。